ご挨拶と私がCAOSについて思うこと(会長講演に代えて)
このたび、第11回日本CAOS研究会を平成29年3月9日(木)と10日(金)の二日間の日程で新潟市の国際会議場 朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター)にて開催させて頂くことを大変光栄に存じます。これまでその重責を感じながら準備を進めて参りましたが、世話人の先生方のご指導並びに多くの方々の多大なご協力をもって無事開催させて頂くに至りました。心から感謝申し上げます。
本研究会の名称でもある CAOS: Computer Assisted Orthopaedic Surgery(コンピュータ支援整形外科手術)の概念は、諸先輩方の大変なご努力によって、広く認知され発展して参りました。特に股関節や脊椎の分野においてはその明らかな臨床的有用性が示されております。一方で、依然として多くの整形外科の分野において、その臨床における貢献度としてはまだまだ無限の可能性を有しています。特に各種評価におけるコンピュータ技術の応用はCAOSの臨床的意義を更に向上させるために必要不可欠です。従来の評価法・評価概念では検出され得なかった様々な臨床的課題の原因が、コンピュータ技術を用いた高次元かつ定量的評価法によって初めて検出されることは大いにあり得ます。そして、それに基づいた手術の新たな目標値を設定していくことが肝要であり、その高次元な手術目標を達成する過程においてこそ、ナビゲーション等の手術制御技術がその真の価値を発揮するものと信じております。そこで、今後CAOSは更なる臨床的意義向上をめざして次の世代に突入すべきであると考え、今回のテーマを「CAOS Next Generation -評価と目標設定-」といたしました。CAOSが整形外科領域に残された臨床的課題の解決手段となることを最大の目的としています。そのテーマのもと、今回は股関節分野においてナビゲーションのみならず各種評価に関してもこの分野を早くから牽引してこられ、CAOSにおける臨床的意義向上のお手本を示してこられた先生の一人でおられる国立病院機構 大阪医療センターの三木秀宣先生に特別講演をお願いさせて頂きました。また、各分野におけるエキスパートの先生方にご講演をお願いしたところ、いずれのご講演もまさに今回のテーマに合致したタイトルを頂き大変楽しみにしております。さらに今回は、各分野において今後の臨床におけるCAOSの位置づけとその意義について徹底的に議論して頂きたく、統合シンポジウム「CAOS Next generation: 残された臨床的問題に対するCAOS技術の介入」を企画しました。各分野の “CAOS master” による熱いディスカッションを期待しております。
ところで、今回の Next Generation というテーマにはCAOSを活用する側の医師の「世代」という意味も持たせています。本来CAOS技術は比較的経験が少ない若手医師でも安全で正確な手術を可能とすることを一つの重要な目的としています。そこで今回は一般的に若手医師が担当する機会が多い外傷の分野におけるCAOSを研究会の大きな柱の一つにしました。これにより、CAOSに対して多くの若手医師がその臨床的意義を感じるきっかけになり、本研究会に積極的に参加して頂けるようになることを心から願っております。二日目の午後は講演・シンポジウム・一般演題ともにこの分野における我が国の「さきがけ」の先生方による外傷のCAOSを徹底的に勉強し議論して頂きたいと思います。
さて、私はお客様をおもてなしすることが大好きな人間です。経験の浅さもあり何かと至らぬ点も多いと思いますが、できるだけ手作りで心を込めたおもてなしをしたいと思っております。新潟市の3月上旬はまだまだ寒さが残る時期ではありますが、参加して頂いた方々に楽しいひとときを過ごして頂き、「新潟らしさ」を人・酒・料理で感じて頂けるよう準備しております。
本研究会が有意義で実り多いものになるよう、精一杯努力させて頂く所存です。全国から多くの先生方のご参加を心からお待ち申し上げております。